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Limit battle/5章~催し~

第60話~いざ、サーキット~


翌日・・AM.5:00

修「ふぁ・・ねむ・・」

ボーっとしながらの起床。今日はEIJI SPEEDとRfactory主催のイベントの為の練習で2日前にサーキットへ―

修「・・・筑波だったよな。」

そう言ってスウェットから私服に着替えて顔と歯を磨きに洗面所へ向う。

陽介「おはよう。今日はサーキットだったな。」

仕事の為起きていた陽介と入れ違いになった。

修「あぁ。筑波だからかなり早めに行かないとだからさ。」

陽介「そうか。俺はイベントの日は休みを取ったからその時は見に行くよ。」

修「別に来なくていいのに・・」

陽介「そう言うなって!んじゃ、俺仕事行って来るわ。」

修「あぁ。」

陽介はそう修に言って家を出て行った。


修が顔を洗い、歯を磨き終わると香苗が起きて来た。

香苗「修君おはよ~・・」

修「おはよう、義姉さん。まだ寝てていいのに。」

香苗「そんな分けには行かないよぉ・・見送り位させてよ~」

修「あーはいはい。じゃ、とりあえず行って来るよ。」

香苗「ご飯は?」

修「ん?サービスエリアとかで食うわ。」

香苗「そう。じゃ、いってらっさい!」

修「おー」

彼は予め昨晩用意して置いた旅行バックを手に持って玄関を出た。

ガレージのランエボの前で立ち止まって朝方の冷たい空気で深呼吸をする。

修「・・よし!行くか!ランエボ!」

彼はボンネットをバンッと叩いた。

ランエボに乗り込んだ修はエンジンをかける。

そして、ガレージを出る際にアクセルを3回煽った。


しばらくゆっくり走って由比ICへと到達。そこから筑波サーキットのある茨城県へと向う。


そして、修が高速道路に乗ってからかなりの渋滞に嵌り5時間で茨城県の谷和原ICへと到着。その時の時間10時30分―

修「っくっそ・・メッチャ時間掛かっちまった・・」

そう文句を言うもののそこから筑波サーキットまでの道のり28kmを走り出す。


約1時間後、目的地の筑波サーキットへ到着。

修「ん~ッ・・・!着いたッ!」

彼はそう言うと筑波サーキットの前に停まっている白い派手なGC8に気が付いた。

修「お・・メッチャ派手なインプだ・・って・・俺人の事言えねぇか・・」

彼はそのGC8の所まで車を走らせて隣に停める。

すると、そのインプレッサから出て来たのは栄治だった。

栄治「よ、待ってたぜ。」

修「栄治さん!?そのインプレッサ何ですか!?」

栄治「ん?あぁ。コレね。カッコいいだろ?あえてフェンダーはカーボンむき出しのまま。ROM弄ってパワー上げて・・

ざっと・・390って所か。」

修「前より10馬力位あがってますね。」

栄治「あぁ。オリジナルパーツもフンダンに使ってるよ。て言ってもボンネットとカナードとヘッドライト、フォグだけだけど。」

修「でも、すげぇ派手ですね。」

栄治「お前が言えねぇだろッ!」

修「そうでした・・」

2人は話込んでいるとRBサウンドが響いてくる。

栄治「お、来たな。」

彼等の前に銀のR33・・そう、拓哉のR33だ。

拓哉「お二方早いですね。」

栄治「そうか?俺は30分前だが。」

修「俺はさっき来たところです。」

拓哉「そうですか、では早速中に入りましょうか。」

栄治「だな。」

3人はそれぞれの車に乗り込んでPIT裏まで行く。


PIT裏

修「初めて俺サーキットに来ましたよッ!」

栄治「そうか。なら思う存分走れるぜ!」

拓哉「・・あそこに置いてあるのが明後日修君が乗るVARISのTAランサーですよ。」

修「おぉぉ!!」

彼の前にあったのは黄色いVARISのランエボだった。

修「すげぇ・・」

拓哉「このランエボはもともと680馬力以上を発揮していていますが、今回の仕様で私達で馬力を700馬力にしました。」

修「え・・700?」

栄治「そ、行き成りで悪いがこの700馬力をインプレしてみな!」

修「ま・・マジですか・・!?」

拓哉「このマシンはかなりの軽量ボディに700psなので加速は想像を絶するほど凄まじい加速を発揮します。乗り手で

この車の速さは決まるという事ですね。」

彼の説明は修にかなり重い言葉となった・・

このVARIS TAランサーを修はどう乗るのか!?

第61話へ続く。


第61話~ジャジャウマ~


修は用意されたレーシングスーツを身に纏いぎこちない態度で栄治達の前に現れる。

栄治「ウン!似合う!やっぱりお前にもレーシングスーツはマッチだぜ!」

拓哉「ええ。かなり決まっていますよ。修君。」

修「そ・・そうですか?ちょっと恥ずかしいな・・へへ・・」

頭を掻きながら照れ笑いすると、栄治がヘルメットを前に差し出す。

栄治「受け取りな。お前の為に俺が作った!」

修「本当ですか!すげぇッ!ありがとうございます!」

彼はヘルメットを受け取ってトライアル鳥取ランサーの横へ立つ。

修(このランエボは・・700馬力そんな簡単に扱えない・・まずは軽く流すか。)

彼はそう考えて唾を飲み込みヘルメットを被る。そして、ランエボのコックピットに乗り込む。

修「コレでエンジン掛けるのか?」

栄治「そうそう。コレをポチッと。」

彼は車の脇からニュっと出て来て言う。

修はボタンを押す。エンジンが唸りを上げて回りだす!

栄治「いい音だぁ・・」

修「すげぇ・・!」

彼はそのエンジン音に畏れが生まれた―俺は・・コレを扱えるのか!?

その思いが修の心を乱そうとする。

栄治「大丈夫。お前なら出来るさ!」

彼の一声で修の心は不安から安心に変わる。

修「・・分かりました。出来る限り頑張ります!」

栄治は超笑顔でグッドラックと手で現した。


修がドライブするバリスランサーがPITアウトする。

修(とりあえず・・最初は慣れる為に走らなきゃ・・)

PITロードを抜け最初の第一コーナーへと差し掛かる!

修(・・お。乗り易いな・・動きがシビアだけど・・結構感じの掴み易い動きをする・・)

ランエボは修が初運転している割には結構速いペースでコーナーをクリアした。

そして、高速区間のS字コーナーへと入ると素早いステアリング操作で見事にクリア!マシンはそのまま第1ヘアピン

へ進入。ランエボはフルブレーキで突っ込む!

修「っぐッ・・!」

少しアンダーを出したが立て直し、次のダンロップコーナーへと向う!

ランエボはダンロップコーナーを曲がるとパワーでリアが滑る!

修「おわぁぁ!!?」

彼は慌ててカウンターを僅かに当てる!

カウンターで戻りそのまま立て直せたが、修は物凄く焦った。

修「はぁ・・やべぇよ・・こんな所でリアが・・」

そのまま80Rコーナーの揺るいカーブへ行き、スピードを付けてからのフルブレーキ!第2ヘアピンへ進入!

修「いけぇぇぇ!!」

アウトからインへ詰め、コース出でアウトへ膨らみ理想のラインでクリア!

モニターを見ていた栄治達からも『すげぇ!』と言う声が上がる。

物凄いスピードでバックストレッチを駆け抜け最終コーナーへ!

修「俺が調べた中では・・筑波の大きなポイントはココをどう攻めるかで決まる!」

彼はブレーキを踏み込んで軽く滑るリアテールをステアリング操作で安定させて最終コーナーも初心者とは思えない

スピードでクリア!そして、メインストレートを駆け抜けゴールラインを通過!

栄治「げぇ!?」

拓哉「こ・・こんな事って・・」

2人が目にしたのは、栄治が手にして居たストップウォッチの数値だった。そこにはなんと―

1'03"221

最初の一周目からの修のタイムであった―


第62話へ続く。


第62話~最強ドライバー~


ランエボが2週目でPITに戻って来た。

PITの中に入って行き、車から修が降りた時に栄治が駆け寄って来た。

栄治「修!お前すげぇな!!行き成り3秒だぞ!3秒!!」

修「え!マジですか!?」

栄治「あぁ!ビックリしたぜ!」

修「俺もビックリですよ・・!」

栄治「いやぁ・・お前はすげぇよ!初っ端でこのタイム・・俺の見る目は間違っちゃいなかった!」

彼は笑顔で修の肩をバンバン叩く。

修「あ・・あの、すみません。緊張が取れてトイレ行きたいのですが・・」

栄治「アッハハハ!行って来い!」

修は苦笑いでトイレへ向う。その途中、PIT裏に入ってくる1台のコンボイを見つけた。

修(なんだろう?ま、後で見よう。先トイレだ。)

彼は早足でトイレへ向う。


トイレへ入ると落ち着いて『ふぅ~』とため息を付いた。

???「調子はどうだ?」

と、行き成りトイレに入って来た男が尋ねた。

修「え?あ!雅道さん!」

その男は雅道だった。彼もまたトイレへ寄ったのだ。彼の目的は只の手を洗いに来た様だったが。

修は水を流して手洗い場まで歩いき雅道の横で手を洗い出した。

雅道「聞いたぞ?行き成り3秒だって?」

修「えぇ。俺自身もビックリでした。」

雅道「・・だろうな。しかし、お前ならまだ伸びる。頑張れよ。」

修「は、はい!」

2人は手を洗い終えると一緒にPITに戻って来た。

栄治「おー、雅道も来たか!丁度お前の乗るのも届いたぞ。」

修「え?雅道さんも何かに乗るんですか?」

雅道「あぁ。何だ、聞いていなかったのか?」

彼はそういい、アレに乗るんだ、と言いコンボイの中から見える黄色いボディでリアが見える車を指差す。

修「あれは・・R34ですか?」

栄治「あぁ。そうだが只のR34じゃねぇ。あれはM-SPEEDのR34だ!」

修「M-SPEED!?」

雅道「そうだ。初めて乗るがまぁ、乗りこなして見せるさ。」

彼の目はM-SPEEDのR34に釘付けだった。


1日目は修の慣れの為に使われその日は終了した。

修達は栄治が予約したホテルへと向かい部屋に入る。

栄治「修。お前は302号室だ。」

修「はい。」

栄治「俺達は上の階だから、手間が掛かるかもしれないけど何かあったら着てくれ。」

修「分かりました。」

彼等は別れてそれぞれの部屋に入った。

修「ふぅ。綺麗な部屋だな。」

荷物を適当に置いてベットにダイブした。

修「・・・今日はいろいろ・・あ・・って疲れた・・な・・」

彼は死んだ様に眠り始めた――


翌日朝6:00

修「ッウ・・・俺あのまま寝ちまったのか・・」

彼は頭を掻きながら起床。そして、部屋の風呂へと浸かる。

風呂を終えた後は用意して置いた服に着替え歯を磨いた。

そして、修の携帯に電話が鳴る。

修「もしもし?」

栄治『おう、おはよう!今俺達ロビーにいっから飯くいに来いよ。』

修「はい。今行きます。」

彼はそう言って携帯を切り、部屋を出て、1階ロビーへ向う。


栄治「こっちだー」

彼の声の方へ歩いて行くと栄治がニコニコと笑っていて、拓哉が朝食の味噌汁を飲んでいて、雅道が新聞を読みながら

コーヒーを飲んでいた。

修「わぁ。美味しそうなご飯ですね。」

栄治「お前のも取って置いた。さ、食べな!」

修「頂きます。」


数十分後、朝食を済ませた彼等は2日目のラスト走行へ向けて一同は筑波サーキットへと向かい始めたッ―!


第63話へ続く。


第63話~開幕~


修は昨日同様、バリスエボを乗りこなすのに明け暮れていた。

―5周を終えてPITに帰って来た修は車から降りてふぅ・・っと息を吐いた。

栄治「お疲れッ!」

修「この車結構慣れてきましたよ。」

栄治「その様だな。さっきからタイムは1分3秒から5秒だし、いいタイムを出しているぞ?」

修「ホントですか!ヤッタ!」

ガッツポーズで喜ぶ修。そこに、雅道が栄治が用意していたレーシングスーツを着て立っていた。

雅道「・・・」

そこに、拓哉がやって来て話をかける。

拓哉「そろそろ走って置いた方が良いかと思います。」

雅道「分かってる。」

彼は組んでいた腕を崩し、エンジンの掛かっていたM-SPEEDのR34の運転席へと入る。

栄治「さ・・最強のドライバーのファーストアタックだぞ・・!」

修は栄治の言葉に何かを感じ唾を飲み込む。2人の目線は雅道のドライブするM-SPEEDのR34に釘付け。

R34はアグレッシブルな音でPITを出て行く―


しばらくして1周目を軽く流していたR34が最終コーナーを立ち上がり物凄い加速でメインストレートに入ってくる!

栄治「っさ・・タイムアタックスタート!」

その声と同時にストップウォッチのスイッチを押した!

R34は修達の前を一瞬にして駆け抜け第1コーナーへ進入!

この車を初め乗るとは思えない様な突っ込みと立ち上がりでアッサリ第1コーナーをクリア!

修「すげぇ!ブレーキのポイントもラインも完璧だ・・!」

身震いを起こし両手で両肘を押さえている修―

R34はS字コーナーへと進入雅道は冷や汗も掻かずに僅かなステアリング捌きで簡単にクリア。

そして、第1ヘアピンに差し掛かってS字コーナーを抜けた直後にブレーキ!

減速し切った所でアクセルONで微妙にリアを流しながら立ち上がる!若干だが白煙も見えた。

雅道「・・・乗り難いな・・」

そうは言ったものの、モニター越しで見ていた修達は無線で流れて来たその言葉に『嘘だろ!』っと突っ込んで

しまいそうだった。


第1ヘアピンを抜けダンロップコーナーへ進入!このマシンもダンロップアーチの下辺りでリアが出る!が、雅道は

『はぁ・・』とため息を付きながらもカウンターを当てて簡単に何事も無かった様にダンロップコーナーを走り去る!

修(はぁ・・って・・)

栄治「いやぁ!流石っちゃぁ流石やのぉ!」

拓哉「多分あれでも5割しか力は出してないかと・・」

修&栄治「はぁ!?」


80Rコーナーもスイスイと抜けて行くR34はすぐに第2ヘアピンへと進入して行く!

第2ヘアピンも綺麗なライン取りでクリアしていった!

そしてすぐにバックストレッチへ!


栄治「さぁ!来るぞ!」

修と拓哉は栄治の掛け声と共に最終コーナーを立ち上がる黄色いボディのR34を見つめる。そして、3人の前を物凄いスピ

ードで駆け抜けて行った!栄治は目の前を通過した瞬間にストップウォッチのストップボタンを押した!

修「タイムは!?」

栄治「・・・」

拓哉「どうしたんですか?」

栄治は急に笑い出した。

修「・・?」

拓哉「一体・・?」

栄治「アッハッハハハハハハッ!!すげぇ!!58秒だってさ!」

修「はぁ!!?」

拓哉「わぉ・・・凄い。」

M-SPEEDのR34はゆっくりと流しながら1周してPITに戻って来た。

修「雅道さん!すげぇですよ!一発で1分切りなんて!!」

雅道「・・喚くな、子供じゃないんだから・・」

修「あ・・すいません・・」

雅道「目標よりも1秒半遅い。これじゃまだまだだ。」

修(お・・恐ろしい人・・!)

雅道の物凄い走りと執念を魅せられ修も負けてはいられないと思いまたバリスエボに乗り込んで走りだした。



それから数時間後、空が暗くなって来て修達もそろそろ退却する時間だ。

栄治「今日の一番速かったタイムは02秒だな。1秒速くなったじゃないか!」

修「えぇ・・でも、雅道さんはずっと1分切りですから・・」

栄治「アイツがキチガイなだけだって!気にすんな!」

修「えぇ・・」

彼等は筑波サーキットを後にし、ホテルへと向った。


ホテルへ着いた彼等はそれぞれの部屋に向う。修は部屋に入るとすぐに部屋にある風呂へと入り汗を流した。


風呂上がりに水を飲み、スウェットに着替えたらベランダへ出て夜風に当る修。

修(・・・いよいよ明日か・・ワクワクするなァ・・俺は俺なりに頑張らないと・・!)

彼はそう心で思い気合を入れた。

数分間外に出ていて寒かったのか、体を震わせながら慌てて部屋に入る。

修「おぉ・・寒いッ!明日早いしさっさと寝よっと!」

そう言い残しベットに潜り込むとあっと言う間に眠りに着いた――


翌日朝5時半、修はいい目覚めをした。

修「ん・・ん~!気もち良く寝れたわ・・」

彼はそのまま目を擦りながら洗面所へ行き顔を洗う。その後歯を磨いて私服に着替え、朝食を取りにロビーへ向う。

エレベーターの中で一人の女性とであった。

???「あんた、今日の筑波のイベントに出るのか?」

修「え・・あ、そうですけど・・」

その女性は黒髪で修の肩ぐらいの身長、目はややタレ目の女性。

???「俺は牧原 友里ってんだ。宜しく。」

彼女は自分の事を『俺』と呼んでいた。少しそれに戸惑いながらも修は声を

修「俺は佳山 修です。友里さんはどうしてこのホテルに?」

友里「俺は東京から来てっからイチイチ帰るのに交通費馬鹿になんねぇだろ?だからだよ。」

修「へぇ、なるほど。」

エレベーターは1階で停まり2人は降りたが、話は続いた。

友里「アンタ、車は何乗ってんだ?」

修「俺ですか?俺はランエボですよ。ランエボ8のRS・・」

彼は言いかけてから友里の顔を見るとさっきとはまるで違う顔をしていた。

友里「ランエボォ!!ホント!僕もランエボ乗ってるんだ!」

修(え・・僕・・?)

友里「いやァ!いい友達になれそうで良かった!」

すると、栄治が丁度やってきた。

栄治「よう、その人は?」

友里「牧原 友里でぇす!」

栄治「俺は高遠 栄治。その首にかけてるのは今日のイベントのチケットだね?俺そのイベントの主催者の一人!」

友里「え・・て事は・・インプかR33か・・」

最後の言葉はぼそぼそにしか聞えなかった。

修「この方はエボに乗ってるみたいですよ。」

栄治「おお!俺はインプレッサだよ!」

友里「インプレッサァァ~?っけ!興味ねぇよ!」

急に言葉遣いが悪くなった彼女に対して栄治と修はビックリした。

この後、友里は急に何処かに姿を消した―


―いよいよイベント当日!初っ端から少し事件があったが、イベントはどう盛り上がるのか!?


第64話へ続く。


第64話~急展開~


修と栄治、拓哉と雅道はロビーで朝食を取るとすぐに駐車場へ向いそれぞれのマシンへと乗り込む。そして、彼等は

筑波サーキットへと向う。


一同はサーキットに到着後、EIJI SPEEDとRfactryの受付嬢達と落ち合い、受付嬢に今日の参加者名簿を渡し場内へ

案内させる説明を細かく説明した。

栄治「さて、今日は大いに楽しもうじゃないか!」

拓哉「修君、兄さん。落ち着いて走ってくださいね。」

雅道「俺にそれを言わなくてもいいだろ。第一俺はプロだ。これしきの事で気を乱す事はないさ。」

修(うわァ・・スッゲエ自信だ・・・俺も落ち着いて走らないと・・)

彼は雅道の自信に気圧されて少し不安になる。


一般者入場まで約30分。それまでは栄治と拓哉、それぞれの店のメカニックが今日走るマシンの調整を行っていた。

修「どうですか?」

彼は自分が乗るバリスエボを調整しているメカニックに話しかけた。

メカニック「うん、一昨日と昨日のセッティングからあまり変えていないけど、もう少し気持ち良くエンジンが回る様に

しておいたから。」

修「そうですか、ありがとうございます。」

すると、メカニックは一段落したのか立ち上がり修の方を向くと『あれぇ!?』っと声を上げた。

メカニックの男は何処か見覚えのある男だった。拓郎である。

拓郎「修!?修じゃねぇカよ!オー!久しぶりだな!」

修「・・・誰?」

彼はストレートに口に出した。

拓郎「・・・・おい!」

修「嘘だって!覚えてるよ。やられっ子だろ?」

拓郎(コイツ・・やられっ子で俺を認識してんのかよ・・)

彼はガクっと肩を落とした。

修「お前がメンテだとちょっと大丈夫か?って気もするなァ~」

拓郎「ッざっけんな!お前よりはメカに詳しいわヴォケェ!!」

修「うっさい!鼓膜破れるわ!唾飛ばすな!」

そのやり取りの後2人の顔には笑みが毀れた。


予定時刻が訪れ続々と来場者が入ってくる。一番最初に入って来たのは赤いランエボ。そう、鏡野の車だ。

彼のマシンはそのままPIT裏に入り停車。中から鏡野本人と妻の真紀、真央が降りて来た。

第一声は鏡野じゃなく、娘の真央だった。

真央「わァ!さーきっとだァ!」

鏡野「どうだ?真央!お父さんが今日ここを走るんだぞ!」

真央「凄い凄い!パパがんばって!」

鏡野「真央ちゃんかぁんわいいなぁぁ!」

娘に抱きつく親馬鹿のお父さん。


鏡野「っで、お待たせしました。」

栄治「いや、いいって。早かったよ。」

修「鏡野さん!」

彼は鏡野を見て声を発する。

鏡野「おう、修じゃねぇか。どうだ?車には慣れたか?」

修「えぇ。少しは・・」

鏡野「そうか、その顔の表情を見ればどれだけ乗れたかは大体察しが付くよ。」

彼は腰に手を添え、ニカッと笑う。

修「所で、鏡野さんは練習とかしてないですけど、大丈夫ですか?」

鏡野「え?あぁ。俺は大丈夫。俺ってさ、結構いろんな所で今日乗るCT230Rは乗ってるから!」

ケラケラ笑いながら余裕を見せた。

修(すげぇな・・)

すると、青いVARISのエアロを装備したランエボが入って来た。

秋川のマシンだ。

鏡野「お出ましだ。」

青いVARISエボから秋川が颯爽と降りて来て青いタオルを頭に巻いた。

秋川「・・よう。ムカつく野郎に一般人。」

最初の一言がどうも気に入らない。

鏡野「よう。幾ら立っても上がれない奴。」

彼の言葉に反応して大声で返す秋川

秋川「オォイ!何言ってくれちゃってんだぁ!?」

修(ひぃ!)

秋川の声で少し畏れが出た修。

すると、拓哉が割ってはいる。

拓郎「はいはい。ココは今日楽しくなる筈の場所ですよ?今日は喧嘩は無しで行きましょうよ。」

鏡野「そうだな!アッハハハ!」

子供みたいに笑う鏡野に対し、秋川はッチと舌打ちをして拓哉を睨みつける。


予定時刻を30分回った所でオープニングセレモニーが始まった。

セレモニーの内容はEIJI SPEEDとRfactoryのデモカーの走行による物から始まった。

EIJI SPEEDのデモカーは白いGDB-FにVORTEXフルエアロ+オリジナルフロントアンダースポイラー装備である。

RfactoryのデモカーはなんとKPGC10ハコスカだ!ボディーカラーは黒にレーシングストライプの入った仕様。

修「うわ・・どっちもスゲェ・・」

栄治「あのインプをドライブしてんのは笹坂だぜ。」

修「え!?拓郎!?」

栄治「あぁ。俺の店のメカや運転技術ではアイツが飛び抜けて上手い。だから俺が選んだんだ。」

修「あいつが・・ねぇ・・」

栄治「対してハコスカは拓哉だ。アイツもかなり上手い。なんせDESTINYのメンバー候補だったからな。」

修「マジですか・・」

彼は冷や汗を流しながら2台を見つめた。



オープニングセレモニーが終わり、いよいよイベントの開始だ!


第65話へ続く。


第65話~大暴れ~


オープニングセレモニーも好評で始まった今イベント。修にはタイムアタック前まで自由にいろんな催しに参加出来る

パスを栄治から貰った。

修は何処に行こうかなぁ・・っと悩みながらウロウロ歩いていた。

すると、彼の目に[パワーチェック]と言う文字が入った。

修「パワーチェック・・あぁ、自分のマシンのパワーを測定する事か。」

彼は今測定されているマシン、青いNSX-Rを只見続けた。

測定委員の声でそのNSXのパワーが451,3psと言うのが発表された。

修「すげぇ・・」

NSXの音も修の腹に響いた。

すると、そのNSXのドライバーが測定した紙を受け取り気だるそうに車に乗り込み、車を測定機から下ろした。

修「あの人は・・」

彼にはその男に見覚えがあった。

―そう、何時か淳とバトルをした六条 雄輝であった。

六条「・・・まぁ、そこそこだな。NAにしちゃぁ。」

彼は徐にポケットからタバコを取り出し、近くにあった灰皿の下へやってきた。

と、次に測定機に置かれたのは黒いケーニッヒベンツだ。その威圧感抜群の見た目は見ている者を呆気に取らす。

修「すっげぇ・・ベンツはベンツでもこうゆーのは初めて見た・・」

すげぇすげぇと連呼しているとすぐに測定が始まった。

結果は600ps―

今回測定の中で今の所1番だった。


修は次に特設会場で行われているジムカーナーを見に行った。

今走っている車は黒のランエボ7だ。コーンをぐるぐると回ったりジグザグに置かれたコーンを細かいステアリング

操作でコントロールし蛇行運転していた。

修「あの人すげぇ上手いな・・!」

彼は呆気に取られただただ呆然と見ていた。

そのランエボから降りてきたのは今朝修とホテルのエレベーターで一緒になった友里と言う変わった女性だった。

修「あの人凄かったのか!」

すると、友里が修に気が付いて駆け寄ってきた。

友里「わぁ!修じゃん!見に着たんだね!」

修「え・・あぁ・・まぁ、暇でしたから。」

友里「じゃぁさ!修も自分のランエボでやってみたら!?」

修「う~ん・・暇だしやってみるよ。」

友里「そうこなくっちゃ!」

彼女はウキウキしながら修が駐車場に止めてあるランエボの方へ歩いていくのを見守った。


しばらくして修のランエボが友里の前に現れた。

友里「え・・ちょ・・スゴッ・・!」

彼女だけがこういう反応を示した訳ではない。周りの人達もこの派手なランエボを見始めた。

修「コレが俺のランエボです・・・派手ですが・・」

彼は少し頭を齧りながら苦笑いで言った。

友里「すっごい!これ空力パーツばっかり!僕のランエボより速そう!」

修「とりあえず、車見ててください。俺エントリーしてきますから。」

友里「運転席乗っても怒らないでね!」

修「まぁ・・」

彼は苦笑いしながらエントリーしに行った―


第66話へ続く。


第66話~ゴチャゴチャ~


ジムカーナーのエントリーを終えて修は友里の待つ所へ帰る。

修「見ててくれてありg・・・」

彼は目にしたのは自分のランエボのボンネットにまるで猫の様に頬を摺り寄せて居る友里だった。

それを見ていた周りの人はドン引きだ。

修「あ・・あのぉ・・」

友里「ッハ!ご、ゴメンなさい!僕ランエボ見るとこうしずには居られないのぉ!」

修「アッハハ・・いいですよ・・気に入って貰えたなら・・」

友里「と、所で、出番はあとどれぐらい?」

修「次の次って受付の人が言ってました。」

友里「じゃぁ・・それまで30分は掛かるね。じゃぁ、その辺見て回ろッ!」

修「あ・・俺この後彼女と約束が・・」

そう言うと、彼女は小声で『ッチ!』と言った。

修「え・・?」

友里「え?えへへへへ!何でも無いよ!そっか~彼女と約束かぁ邪魔しちゃ悪いから私観客席戻るね!サヨナラー!」

彼女は疾風の如く駆けて行った。


修は筑波サーキットを一通り回ると、待ち合わせ場所の駐車場の出入り口で待っている女性を発見。美雪だ。

修「っよ!美雪。おまたせ。」

美雪「おっそーい!10分オーバー!」

修「わりーわりー!」

っと、頭を左手で掻いていると、後ろからポンっと誰かの手がおかれた。

修「ん?」

振り返るとそこには美雪の姉、瑞穂の姿が・・

修「んげぇ・・!」

瑞穂「失礼ねぇ!せっかく私が貴方の為にここまで来たのにぃ!」

修「あ・・ありがとうございます・・あはは・・」

彼は元気の無い声で言った。

と、美雪が修の耳元で小声で囁く。

美雪「お姉ちゃんに修君も来るって言っちゃったら勝手に付いて来ちゃったのよ・・」

修「そ、そうなの・・」

瑞穂「何話てんの?さ!さっさと行こうよ!」

彼女は修の腕を引っ張り、腕と腕を組んで歩き始めた。

美雪「ちょっと!お姉ちゃん!修君にくっ付かないでって!」

彼女も反対側の腕を掴んだ。

瑞穂「もぉ!いいじゃないのよぉ!」

2人は喧嘩しながら修を取り合った。


しばらくして3人は食べ物を売ってる所まで来ると、そこで修の兄、陽介と香苗に出会った・・いや、今こちら側

には瑞穂が居る。この状況的に出会ってしまった。

修「兄さん!」

彼は心の中で逃げて!と叫んだ。

陽介「よぉ。修ー。どうだ?調子は・・て!綾川ぁ!!!」

彼は食べていた焼きそばをボロッと口から溢した。

香苗「やだ!陽介!汚い!」

瑞穂「あー!ヨッシーとカナッピー!」

修(あちゃぁ・・)

彼は右手を軽く額に当てた。

陽介「ゴホッゴホ!な、何でお前までココに来てるんだよ!?」

瑞穂「ッフッフッフ・・ココであったが100年目よ!今日こそ好きにさせてもらうんだから!」

香苗「駄目よ!瑞穂ちゃん!陽介は私の旦那なの!」

瑞穂「ムキー!何よ!いいじゃない別に!」

彼女達の争いは長く続く・・

修「み・・美雪・・何処か行くか・・」

美雪「・・え・・えぇ・・」

2人はそーっと3人を残して歩き出した。

陽介「ちょ・・!修!美雪ちゃん!俺を・・助けてちょぉ―!!!!」

彼の虚しい叫び声はサーキット中に聞えそうな勢いであった・・


第67話へ続く。


第67話~イベント色々そして~


瑞穂の一件・・陽介達を放棄し修と美雪はそのままデートな雰囲気でサーキットの周りを歩いていた。

美雪「ねぇ、あそこ寄って見ない?」

修「え?あぁ、ミニカーのショップね。」

2人は個展を開いているEBBROのミニカーショップへ立ち寄る

美雪「わぁ!見て見て!このスープラカッコいい!」

修「こっちのWRCランサーの方がいいって!」

美雪「スープラの方がいいよぉ!」

2人は見入ってしまった。修も我ながら恥ずかしいくらい・・子供の様に見入った。

修「あ・・これ・・」

彼が手に取ったのはスーパーGTのガイヤルド・・

修「これって・・確か鏡野さんが去年乗っていた仕様の・・やっぱかっこいいなぁ」

彼はガイヤルドのミニカーを手に取って笑みを浮かべた。

美雪「はは~ん・・さては修君、こういう車に乗ってみたいの!?」

修「ま、まぁな・・出来る事なら乗ってみたいさ・・でも、俺絶対まだ乗れないから・・それに、乗れるかわかんないし。」

 「いいや、乗れるさ!」

急に背後から声が聞えた。鏡野だった。

修「鏡野さん!?何でここに?」

鏡野「いやね、どうしても真央がミニカー欲しいって言うから見に来たんだ。でも、高いねぇ・・」

修「そうだ・・真央ちゃん、俺がミニカー買ってあげようか?」

真央「え!いいの?わーい!ありがとうお兄ちゃん!」

鏡野「いいよいいよ!悪いって!俺なんもして無いし・・」

修「いえいえ、鏡野さんには結構お世話になってますから。コレくらいさせてくださいよ。」

鏡野「ホント・・?いいのか?ごめんねィ!」

修「いえいえ、さぁ、真央ちゃん。何がいいかなぁ?」

真央「ん~とね、ん~とね・・これ!」

鏡野の娘が手にしたのはスーパーGTのカルソニックスカイラインのR33型。大きなリアウィングが特徴的。

修「わぁ!カッコいいねぇ!」

真央「うん!この車パパが憧れてた車なんだって!」

修「へぇ、そうなんだ!」

鏡野「アッハハ!俺このR33メッチャ好きだったんだよ!」

修「よし、じゃぁ、レジに持っていこうね。」

真央「うん!」

2人はレジに向かいレジ待ちの列に並ぶ。

鏡野「・・所で、えーっと・・」

彼は美雪に言う。

美雪「あ、綾川 美雪です。」

鏡野「そうか、それで修とは何処まで?」

耳元に近づいて小声で言う鏡野・・対して美雪は頬を赤らめ照れた。

鏡野「焦らすなってェ・・で?何処まで?」

また微笑で問う鏡野・・そこへ鏡野の右耳を妻の真紀が引っ張る

鏡野「いでで!!いだだだだ!やめい!やめて!」

真紀「貴方ったら!聞いていい事と悪い事があるでしょ!」

鏡野「すまん!」

彼は美雪に謝った。

美雪「いえいえ、いーんですよ。」

少し焦りながら言う。

真央「ママー!見てー!お兄ちゃんに買ってもらったの!」

真紀「あら、ごめんね・・娘がこんな物強請っちゃって・・」

鏡野「こんな物とはナンダー!俺の憧れの車だぞ!コラぁ!」

真紀「・・貴方は黙っててね?」

微妙に怖い笑みで言う。

鏡野「はうぁ!ごめんなさい・・」

彼は縮こまり修の後ろに隠れた。

修「いいですよ、別に。真紀さん達にはかなりお世話になってるんで。」

真紀「そお?ありがとうね。真央、大事にしなさいね。せっかくお兄ちゃんが買ってくれたんだから!」

真央「うん!大事にするね!ありがとうお兄ちゃん!」

修「うん。大事にね!パパもこれ狙ってるから気をつけてねッ!」

真央「絶対パパにはあげないよ!」

鏡野「そんなぁ!」

彼は半分泣き顔で言う。


しばらくして場内放送でジムカーナーの予約待ちの人達を呼び出す放送が入った。その中に修もあった。


第68話へ続く。


第68話~開始~


修が美雪と個展を出ようとすると、鏡野一家が一緒に付いて来た。

鏡野「俺もお前の走りが見たいからさ、一緒に行くよ。」

修「そうですか、分かりました。」

5人は歩きながら色々話、ジムカーナー特設会場へと向う。


鏡野「修の番は何番目だい?」

修「今やってる人の次の次ですね。」

鏡野「そうか。じゃ、待ってるか。」

美雪「そだ、修君。」

修「あ?」

美雪「・・あの人は?さっきからずっと見てるんだけど・・」

修「え?誰?」

彼が見た先には友里が居た。

修「あ・・」

修と目が会うとズンズンと歩いてくる。

友里「へぇ~。この娘が彼女?」

修「え、えぇ。そうですよ。」

美雪「綾川 美雪といいまs・・」

友里「別に名前なんて聞いてねぇよ。」

修・美雪(え―――・・・)

友里「所で、こっちの人達は?」

鏡野「俺は鏡野 劉輝、こっちは妻の真紀。で、こっちが可愛い俺達の娘の真央たんだよぉ~!!」

彼はすぐに真央に顔を擦り付けた。

真央「痛いよパパ~!」

真紀「こら、やめなさい!人前よ!」

友里「・・まァ、いいや。所で、あんた等車は何乗ってるんだ?」

修「あぁ・・美雪はスープラ、鏡野さんはランエボ、奥さんは・・えー・・」

真紀「私もランエボよ、白いエボ3。」

修「へぇ、ランエボだったんですね!」

友里「わーい!エボ乗りがこんなに!・・でも、アンタはスープラか・・ッチ!」

美雪「す、すみません・・」

と、修が美雪の耳元で囁く

修「あの人属に言う『エボデレ』って奴・・ランエボ以外好きじゃないってことだ・・」

美雪「へぇ・・そうなんだ・・」

彼女は何故か少しガックリしていた。

と、ココで修が何かの違和感に気が付く。

修「アレ・・真紀さん、お腹大きくなっていません?」

真紀「あ、あぁ・・コレね。コレは・・」

鏡野「2人目だ!もう9ヶ月だ。予定日は来月の初め頃。」

修「へぇ!おめでとうございます!」

鏡野と真紀は一緒にありがとう!と心を込めて言った。

真央「産まれるのはね!真央の弟なんだよ!」

修「へェ!真央ちゃんお姉ちゃんになるんだね!良かったねぇ!」

彼は真央の頭を撫でた。

美雪「鏡野さん、真紀さん!おめでとうございます!」

鏡野「美雪ちゃんありがとうね!」

美雪「赤ちゃんかぁ・・私も早く欲しいなぁ・・」

鏡野「へぇ・・・!」

彼は細い目で修を見る。

修「な、なんスカ!?」

鏡野「いやいや、何でもないよ~ん!」

話題が丁度尽きた所で修の出番が回って来た。

修「じゃ、行ってきます。」

鏡野「頑張ってこいや!」

真紀「いってらっしゃい。」

美雪「頑張ってねッ!」

友里「修なら絶対いい記録出せるよ!」

皆に応援されて修は自分のランエボに乗り込む。そして、ジムカーナーのスタート地点に着く。

設置されたシグナルランプが光りだす!


第69話へ続く。


第69話~初ジムカーナー~


修のランエボがジムカーナーのスタート位置に置かれた。

ランエボの右側に置かれたシグナルランプが3つ全て赤になり、1つずつ点滅して消える・・

修(・・・)

シグナルが音を鳴らし消えて行き、最後のシグナルランプが消えた。と同時にシグナルランプ全てが青に変わる!!

修のランエボが勢い良くスタート!!

ランエボは、1番コーンから2番コーンへと走り、2番コーンをクイックにターン!

修「っしゃァ!ターンが上手く行った!」

と、上手く行ったっと思った矢先、修のランエボは急にアンダー!

修「おわァ・?!」

ほぼ峠仕様の足回りから即席のサーキット仕様へと変更された足回りは、まだ良いセッティングが出来ておらず、かなりの

アンダーを出してしまう!

修「ぐ・・・!らァァ!!」

彼は力ずくで車の体制を立て直し、少しロスをしたものの何とか走りだした。

鏡野「ふぃぃぃぃー・・危なかったなァ・・」

美雪「一瞬ヒヤッとしました・・」

友里「あんなんじゃ、ミスのうちに入らない。俺の場合。」

鏡野(アンタの場合・・な。)


修のランエボは4番コーンを身軽にターン!そして、そのまま5番コーンを8の字ターンをし、進行方向と逆向きのコーン、

9番コーンへ向い、軽やかにターン!

9番コーンをターンした後そのままスタート地点に帰ってくる。コレでゴールだ。


タイムは――13秒066―

鏡野「はっえぇぇぇ!!良いタイム出すじゃん!」

友里「あらら、一発で俺とほぼ同タイムじゃん。やっぱすげぇや!修!」

美雪「凄い・・私じゃ出せないわ!」

友里「当たり前じゃん。お前に出せるかよ!」

美雪「うゥ・・」

2人の言い争いを鏡野が止めに入る。


―と、走りを終えた修が彼等の前に帰って来た。

修「ふぅ・・結構大変ですね。ジムカーナー。」

鏡野「あァ、最初のアンダーは正直俺もビックリした。がッ!流石じゃん!あそこからそのまま持ってくとは!」

友里「修の走りは見事だったさ!僕のタイムと1秒差で負けただけだもん!」

修「げ・・友里さんって・・俺より上・・」

彼は少し気が抜けた。

美雪「でも、ホント凄いタイムだったよ!今暫定2位だし!」

修「え、マジ!2位!?」

彼は記録と順位の書かれた掲示板を見た。すると、そこには1位:牧原 友里/タイム:12秒026 2位:佳山 修/13秒066

―と記入・・3位からは14秒などであった。

修「・・マジか。すげぇな俺。」

鏡野「自分で言うなよ。」

修は鏡野に突っ込まれた。少し恥ずかしくなったのか、顔を赤らめた修。


すると――

周りのギャラリー達の声がいっそうに大きくなった!

修「な、なんだ!?」

鏡野「アレだな・・あのNSXが良いタイム出したらしい。今掲示板に書かれるぞ・・」

修(あ・・あの青いNSX・・)

順位掲示板にはこう書き加えられた――

1位:六条 雄輝/タイム:12秒フラット

2位:牧原 友里/タイム:12秒026

3位:佳山 修 /タイム:13秒066

修「やっぱ・・六条さんだったか・・すげぇ・・あの人・・!」

そして、六条が鏡野の前に仁王立ちする。

鏡野「・・・なんだ?」

六条「・・いや。こんな所で同じ職業の奴に会えるとはな。一つ言いたくてよ。おめぇ等300にな。」

鏡野「何よ?」

彼が六条に問いかけると、六条はゆっくり歩き出し鏡野の横で呟いた。

六条「ッフン。精々、500のシケインにならないように努力してくれっよ」

彼が微笑で鏡野の右肩にポンっと右手を添えた・・

鏡野「・・っけ。わーってるよ。んなこたぁ。」

と、鏡野がそう言ったと同時にまたもやジムカーナー場から歓声が上がった。

修「今度は・・?」

美雪「あ!修君・・アレ・・」

修「ん・・?アレは・・・兄さん!?」

六条「んだ?あのトボケタ奴は・・」

鏡野「え?修の兄さん?居たの?」

修「はい・・実は居たんですね・・」

彼がそう答えると、陽介の記録が掲示された。

―1位:佳山 陽介/タイム:10秒318

修「は・・?」

友里「え・・」

鏡野「あらら・・」

六条「っな・・!?」

美雪「す、すご・・」


すると、彼等の前に陽介が現れた。

陽介「よっ!いやぁ~、ジムカーナーってムツカしいネ!俺いいタイム出せなかったよォ!」

彼の言葉に皆殆ど無言―どうやら、陽介はここにいる全員、陽介よりタイムが下と言う事は知らないみたいだ・・・


第70話へ続く。


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